初めてのトンネル作りで風に飛ばされたり温度が安定せず困ったことはありませんか。
保温性と防虫性、換気や耐風性を同時に満たすのは意外と難しく、資材選びや支柱の立て方で失敗しがちです。
本記事では場所選定から土作り、畝づくり、支柱設置、被覆掛け、裾の固定、換気管理まで、具体的な手順と失敗しないコツを実例付きで解説します。
ビニールや不織布、防虫ネットなど資材別の使い分けや支柱の径・間隔、季節ごとの対策、補修方法も丁寧に紹介します。
図解や寸法例、施工前チェックリストも用意しているので初心者でも再現しやすくなっています。
まずは場所選びのポイントから順に確認して、安定したトンネルを作るコツを身につけましょう。
畑でのトンネルの作り方

畑でトンネルを作ると、作物の生育を早めたり、寒さや害虫から守ったりできます。
ここでは場所選びから換気までの具体的な手順を分かりやすく解説します。
場所選定
まず日当たりと水はけを確認してください。
日当たりが良く、風通しが程よい場所が理想です。
周囲に高い障害物があると風の影響を受けやすくなるため、風向きを考慮して設置向きを決めます。
土作り
トンネル内は限られたスペースで生育するため、土壌の基本を整えることが重要です。
元肥や有機物をしっかり混ぜ込み、ふかふかの状態にしておくと根張りが良くなります。
pH調整が必要な場合は石灰や硫黄を施してから数週間置くと効果的です。
畝づくり
畝は排水と保温を両立できる形状に作ります。
幅や高さは育てる作物に合わせて決めてください。
一般的には幅60〜90センチ、高さ10〜20センチ程度が使いやすいです。
資材準備
被覆材や支柱の種類によって効果が変わるため、目的をはっきりさせて準備します。
短期で防寒をしたいのか、害虫対策が主なのかを基準に選ぶと失敗が少ないです。
- ビニールシート
- 不織布
- 防虫ネット
- 支柱 アーチ用
- クリップやトンネル用留め具
- 土止め用の石や土嚢
支柱設置
支柱はトンネルの骨組みになるため、間隔と埋め込み深さを意識して設置します。
支柱の素材や径で強度が変わるので、耐久性とコストのバランスを考えて選んでください。
素材 | 特徴 | 推奨用途 |
---|---|---|
鉄パイプ | 耐久性高い | 長期設置 |
塩ビパイプ | 軽い | 短期設置 |
アルミ | 錆びにくい | 持ち運び |
アーチ間隔は通常50〜100センチが目安で、耐風性を高めたい場合は狭めにします。
埋め込みは最低20センチ以上を確保すると抜けにくくなります。
被覆掛け
被覆は下から順に張ると風でめくれにくくなります。
ビニールを使う場合は温室効果で内部が高温になりやすいため、季節に応じて工夫してください。
不織布や防虫ネットは重ね掛けが可能で、状況に応じて使い分けると安心です。
裾固定
裾の固定を甘くすると風で全体が飛ばされるリスクがあります。
土を盛る方法、重りを置く方法、バーや土嚢で押さえる方法を組み合わせてください。
しっかり固定すると隙間からの害虫侵入も減らせます。
換気管理
換気は温度と湿度の調整に直結しますので、こまめに行う必要があります。
朝晩の気温差が大きい時期は、日中に開けて夜間に閉めるなどの時間帯管理が有効です。
小さな窓やマジックテープ式の開閉部を設けると手軽に換気ができます。
病気予防のためにも、蒸れを防いで風通しを確保する習慣をつけてください。
資材別ポイント

畑のトンネルで使う資材は目的に合わせて選ぶことが大切です。
保温、害虫対策、遮光など用途によって向き不向きがあります。
ここでは代表的な資材の特徴と使い方のコツを分かりやすく説明します。
ビニール
ビニールは保温性と防風性に優れるため、寒さ対策に最適です。
光線透過率が高く、冬場の光合成不足をカバーできます。
厚さ | おすすめ用途 |
---|---|
50μm | 簡易トンネル保温 |
80μm | 標準的なハウス用 |
100μm | 耐久性重視の長期栽培 |
注意点は結露と通気です。
結露が多いと病気の原因になるため、日中に換気をしっかり行ってください。
風の強い地域では裾をしっかり固定しないとバタつきで破損しやすいです。
紫外線対策が施されたタイプを選べば寿命が延びます。
不織布
不織布は軽くて通気性があるため、霜や軽い寒さから苗を守るのに向いています。
防寒性能はビニールほど強くありませんが、蒸れにくく病気リスクを抑えられます。
播種直後から苗の保護に使えるため、育苗期の温度安定に便利です。
重ねて使うことで防寒性能を上げられますが、光透過を確認してから重ねると良いです。
防虫ネット
防虫ネットは害虫の侵入を物理的に防ぐため、薬剤を減らしたい方に適しています。
網目の大きさによって守れる害虫が変わるため、目的に合わせて選んでください。
- アブラムシ対策
- コナガ対策
- ハモグリバエ対策
- ハダニ予防
ネットは風でめくれやすいので、裾の固定を確実にすることが重要です。
害虫のライフサイクルを考え、定期的に点検して穴がないか確認してください。
寒冷紗
寒冷紗は薄手のメッシュで、日差しを和らげつつ通風を確保できます。
真夏の強い日差しを遮り、葉焼けや高温障害を防ぐことができます。
紫外線と風の両方を和らげるため、苗や若い作物の保護に向いています。
遮光ネット
遮光ネットは遮光率の違いで選ぶことが大切です。
高遮光率のものは日照不足に注意が必要ですが、強烈な日差しを確実に遮ります。
部分的に使って通気や光量の調整を行うと、作物のストレスを減らせます。
ホットキャップ
ホットキャップは個別の苗を簡単に保温できるプラスチック製の覆いです。
苗床やポット栽培で使うと初期の立ち上がりが速くなります。
通気孔がないと蒸れやすいので、天気に応じて蓋を外すか穴を開けることをおすすめします。
移植後は成長に合わせて早めに外すことで徒長を防げます。
支柱と固定具の選び方

トンネル支柱と固定具は、トンネルの耐久性と作業性を大きく左右します。
素材や径、間隔を正しく選べば、風や積雪にも強いトンネルを作れます。
ここでは、畑で使いやすい支柱の種類と留め具の選び方をわかりやすく解説します。
支柱素材
支柱素材は耐久性とコスト、扱いやすさのバランスで選びます。
軽さを優先するか、強度を優先するかで適した素材が変わります。
素材 | 特徴 |
---|---|
塩ビパイプ | 軽量で安価 |
スチールパイプ | 強度が高い長持ちする |
竹 | 自然素材で扱いやすい |
アルミ | 軽くて錆びにくい |
塩ビは取り回しが良く、小規模な家庭菜園に向いています。
スチールは強風や雪の多い地域で安心して使えますが、重さと錆対策が必要です。
支柱径
支柱径はトンネル幅と被覆材の種類に合わせて決めてください。
一般的には直径20〜25ミリ程度のものが使いやすいです。
軽い被覆を使う場合は細めでも問題ありませんが、風の強い場所では太めをおすすめします。
太さが増すと設置や収納の手間は増えますが、耐久性が向上します。
アーチ間隔
アーチの間隔はトンネルの形状と作物の成長空間を考慮して決めます。
- 小型野菜 50cm程度
- 中型作物 70〜90cm
- 大型作物 100cm以上
間隔を狭くすると被覆が安定しますが、支柱本数が増えてコストが上がります。
反対に間隔を広げると材料節約になりますが、被覆のたわみや風の影響を受けやすくなります。
支柱埋め深さ
支柱は地中にしっかり埋めることが重要です。
一般的には埋め込み深さを20〜30センチ程度確保してください。
風当たりの強い場所では深めに埋めて、追加でコンクリートや土盛りで固定すると安心です。
軟弱地盤の場合は支柱の先端に石や砂を詰めると抜けにくくなります。
留め具
留め具は被覆材をしっかり抑えつつ、取り外しが簡単なものを選ぶと作業効率が上がります。
クリップ型やガイド付きの金具、ゴムバンドなど種類があります。
耐候性の高い素材を選べば、交換頻度を減らせます。
畑の規模や作業スタイルに合わせて、複数の留め具を組み合わせるのがおすすめです。
気象別の設置対策

季節ごとの気象条件に合わせてトンネルの設置方法を変えると、生育がぐっと安定します。
ここでは春から冬、強風時までの具体的な対策を、実践的に分かりやすく解説します。
春対策
春先は日中の暖かさと夜間の冷え込みが大きく変動しますので、開閉で温度をこまめに調整する必要があります。
夜間の霜に備えて、深夜から早朝まではビニールや不織布を閉めて保温してください。
日中に気温が上がったら、側面や入口を開けて蒸れを防ぐと害虫や病気の発生を抑えられます。
苗を定植する際は、トンネル内の温度を数日観察してから移すと根付きが良くなります。
春の強い雨に備え、裾の固定と排水の確認をしておくと、水はけトラブルを避けられます。
夏対策
夏は高温と湿気が最大の敵になりますので、換気と遮光を最優先に考えてください。
- 通気口の増設
- 遮光ネットの併用
- 夕方の散水
- 裾の浮き防止
- 支柱の補強
午前中にしっかり換気し、午後の日差しが強くなる前に遮光をすることで葉焼けを防げます。
湿度を下げるために、朝と夕方で風通しを作ると病気の発生率が下がります。
水やりは朝に行い、葉面の乾燥時間を確保することが大切です。
秋対策
秋は日照時間が短くなり、夜温が下がるため、保温と病害虫管理のバランスが重要になります。
夜間の冷え込みが始まったら、被覆を早めに補強して地温を保持してください。
ただし、晴れの日は日中にしっかり換気して湿度を下げることが、うどんこ病などを防ぐ鍵です。
収穫時期が近い作物は、風通しを良くして実の品質を保つことを意識してください。
台風シーズンが近づく場合は、支柱や留め具の点検を行い、補強を済ませておくことをおすすめします。
冬対策
冬は保温対策が最優先で、二重被覆や不織布の併用で地温と気温を稼ぐ方法が有効です。
対策 | 効果 |
---|---|
二重被覆 | 保温性向上 |
マルチ敷設 | 地温保持 |
ヒーター設置 | 一定温度維持 |
雪落とし対策 | 倒壊防止 |
夜間の最低気温が極端に下がる日は、早めに覆いを閉じて保温するようにしましょう。
積雪が予想される地域では、アーチの間隔を狭くして強度を上げると安心です。
電源を使った暖房を導入する場合は、配線と防水を必ず確認し、安全に配慮してください。
強風対策
強風時は被覆の剥がれやトンネルの倒壊が起きやすいので、事前の固定強化が重要です。
支柱の埋め込みを深くし、裾は土でしっかり押さえるか重石で固定してください。
風の強い日は裾を低くして風の抜け道を作らないようにすると安心です。
必要に応じて風除けネットや簡易的な防風林を設けて、風速を落とす工夫をしましょう。
予報で暴風が出ているときは、被覆を外してから風当たりを減らす判断も有効です。
台風通過後は速やかに点検を行い、破損箇所は早めに補修して被害を最小限に留めてください。
管理とトラブル対処

畑のトンネルは設置して終わりではなく、日々の管理が収穫を左右します。
ここでは換気や病害虫、水や補修、そして撤去時の再利用まで、現場で役立つ実践的な対処法をまとめます。
換気管理
トンネル内は朝晩の温度差が大きくなるため、換気を怠ると高温多湿になりやすいです。
朝陽が昇る前から午前中にかけては扉や裾を開け、熱を逃がすことをおすすめします。
午後の日差しが強い日は昼前後に追加で換気を行い、葉面温度の上昇を抑えます。
夜間は気温が下がる場合が多いので、作物に応じて裾を閉める判断をしてください。
自動開閉器を導入すれば手間を減らせますが、誤作動のチェックも忘れないでください。
換気の目安としては日中のトンネル内温度が25〜30度を超える場合に扉やロールアップを行うとよいでしょう。
病害虫対策
被覆資材は防寒や防虫に有効ですが、密閉しすぎると病気が蔓延するリスクが高くなります。
まずは発生を未然に防ぐため、苗や資材の持ち込み前に健康状態を確認してください。
視察は週に一回以上を目安にし、葉裏や茎元まで丁寧にチェックします。
発生初期は物理的な除去や被覆の部分交換で対処すると薬剤の使用を減らせます。
被覆材を使う場合はタイミングを見て交換し、汚れや破れは早めに補修しましょう。
- 定期的な巡回と早期発見
- 被覆のこまめな清掃と補修
- 天敵の利用
- トラップの設置
- 適切な薬剤選択と希釈
- 輪作による予防
水管理
トンネル内の水やりは回数を減らし、一度に適量を与えることが基本です。
滴下装置を使うと根域に均一に水を送れるため、葉面の湿度を下げることができます。
夜間は葉が濡れた状態になると病気が発生しやすいので、朝のうちに散水を終えると安心です。
土の表面だけで判断せずに、指や水分計で土中の水分を確認してください。
排水不良の場所には溝や微小な傾斜をつけて過湿を防ぐ工夫が必要です。
補修
風での破れや支柱の緩みは早めに対処しないと被害が拡大します。
日常点検で破れや綻びを見つけたら、その日のうちに応急処置を行ってください。
損傷箇所 | 対処方法 |
---|---|
裂けたビニール | 補修テープで仮止め |
支柱の傾き | 追加の埋め込み固定 |
裾の外れ | 土嚢やクランプで固定 |
ネットの穴 | 当て布と縫製補修 |
テープ補修は一時しのぎになる場合があるため、シーズンごとに広い範囲の点検と交換を検討してください。
支柱の根本が緩んでいる場合は、掘り起こして補強するほうが長持ちします。
撤去再利用
シーズン終了時は資材をきれいにしてから保管すると、次回の作業が格段に楽になります。
ビニールやネットは乾燥させて泥や有機物を取り除き、折りたたんでラベルを付けると再利用がしやすいです。
破れが大きいものは切り取ってパッチに回すか、園内のマルチなど別用途に再利用できます。
木製支柱や金属部品は錆や腐食の有無を確認し、必要に応じて防錆処理や交換を行ってください。
廃棄する場合は自治体の規定に従い、可能なものはリサイクルに回すことをおすすめします。
施工前チェックリスト

トンネル設置前に確認すべきポイントを短くまとめました。
準備不足を防ぎ、当日の作業をスムーズに進めるための一覧です。
- 設置場所の排水状況と日当たりの確認
- 土壌のpHと肥沃度の確認
- 畝幅と高さの確認
- 支柱の本数と状態の点検
- 被覆資材(ビニール、不織布等)のサイズと枚数確認
- 裾固定具、土のう、ピン類の準備
- 強風対策のための補強資材の用意
- 散水設備と排水経路の確認
- 作業人数と当日のスケジュール調整
- 近隣への配慮、必要な許可の確認
このチェックリストを元に準備を整えれば、設置作業が格段に楽になります。