荷台の雨漏りや荷物の飛散、積載物の保護を安価に実現したくて軽トラックのトノカバーを手作りしたいと考える人は多いです。
しかし既製品はサイズが合わなかったり高額だったり、採寸や素材選びで失敗すると防水性や強度に不満が出ます。
この記事では準備物や必要工具、採寸ポイント、設計図の作り方、コスト試算、安全確認まで実際に作業できる手順を丁寧に解説します。
素材比較、固定方法、開閉機構、作業時間目安、廃材活用案など、完成後の点検と維持管理も含めて一通りカバーします。
まずは準備段階のチェックリストから確認して、次の章で具体的な図面と手順を見ていきましょう。
軽トラトノカバー自作ガイド
軽トラのトノカバーは汎用性が高く、用途に合わせて自作する価値があります。
ここでは初心者でも取り組みやすい手順と注意点を、わかりやすくまとめます。
準備物リスト
まずは材料を揃えることが成功の鍵になります。
基本的な材料はフレーム用のパイプ、張り材、シール材、留め具類です。
用途に応じてアルミやスチール、合板やFRPを選ぶと良いです。
また、防水処理用のシーリング材や塗料も忘れないでください。
予備としてボルトやワッシャー類を多めに用意すると、作業中の不足を防げます。
必要工具
- メジャー
- 電動ドリル
- 金属用ノコギリ
- 角度切断用グラインダー
- レンチセット
- クランプ
- ハンマー
- サンドペーパー
工具は安全に作業するための投資です、性能に余裕のあるものを選んでください。
電動工具はバッテリー式であれば屋外作業が楽になりますが、有線式は連続作業に向きます。
採寸ポイント
採寸は現車で何度も確認することが重要です。
荷台の内寸だけでなく、ホイールハウスの形状やルーフの取り付け位置も測ってください。
後端の開閉スペースやテールゲートの干渉を考慮することを忘れないでください。
左右対称にするため、基準線を決めて複数箇所で測り直すと精度が上がります。
張り材のたるみ分やシール材の厚みも計算に入れて、余裕を持たせてください。
設計図作成
手描きのスケッチから始めて、細部はCADで詰めるのが効率的です。
フレームの断面や継手位置を明記しておくと、加工時の誤差を減らせます。
荷重や風圧を受ける箇所には補強を入れる設計にしてください。
蝶番やロック位置は実際の開閉動作を想定して決めることを推奨します。
設計図には材料ごとの長さや必要なボルトのサイズも記載しておくと便利です。
コスト見積り
材料費と工具費、消耗品を分けて見積もると予算管理がしやすくなります。
既に工具を持っている場合は材料費のみで大幅に安くできます。
| 項目 | 目安価格 |
|---|---|
| フレーム材料 アルミパイプ | 6000円 8000円 |
| 張り材 ターポリン | 3000円 5000円 |
| 留め具 ボルトナット類 | 1000円 2000円 |
| 防水シーリング塗料 | 1500円 3000円 |
上記は一例ですので、使用する素材や地域の相場で変動します。
安全確認項目
作業前には保護具を着用して、安全対策を徹底してください。
フレームの継手は確実に固定し、ガタつきがないか確認します。
鋭利な切断面はバリ取りを行い、手や荷物を傷つけないように処理してください。
防水シールの取り付けは隙間がないかを目視と指で確認することをおすすめします。
完成後は強風時の耐久性や、走行中の揺れによる緩みがないか点検してください。
作業時間目安
採寸と設計で半日から1日は見ておくと安全です。
フレーム加工と組立で1日から2日はかかることが多いです。
シート張りや防水処理は乾燥時間を含めるとさらに半日から1日が必要になります。
合計で週末2日を使えば、余裕を持って仕上げられるケースが多いです。
初めての方は余裕をもって作業日程を組むことをおすすめします。
廃材再利用案
使わなくなったパレットは合板の代替として有効に使えます。
古いテントやトラックのシートはターポリンの代わりに再利用できます。
アルミ建材の切れ端はフレームの補強材として活用でき、コスト削減になります。
廃材を使う場合は強度と防水性を十分に確認してから採用してください。
環境負荷を減らしつつ、個性的な仕上がりにすることも可能です。
素材・部材選択
軽トラのトノカバーを自作する際は、用途や耐久性、加工のしやすさを考えて素材を選ぶことが重要です。
ここでは主要な素材ごとに特徴と選び方のポイントをわかりやすく解説します。
アルミフレーム
アルミフレームは軽量で腐食に強く、車体への負担を抑えたい場合に向いています。
断面形状を四角や丸パイプから選べますが、曲げ加工や継手の選定で仕上がりが大きく変わります。
接合はボルト固定か専用のジョイントで行うことをおすすめします、アルミ溶接は専用設備が必要で難易度が高いです。
スチールパイプ
スチールは強度が高く、コストパフォーマンスに優れるため重量物を運ぶ用途で安心感があります。
その反面、錆対策が必須で、塗装や亜鉛めっき処理を施すことが長持ちの秘訣です。
溶接やねじ止めなど接合がしやすく、補強や改造もしやすい点が魅力になります。
合板
合板は加工性に優れ、床やパネルとして使いやすい素材です。
| 種類 | 厚みの目安 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 構造用合板 | 12mm 15mm 18mm | 床パネル |
| 耐水合板 | 9mm 12mm | 外装パネル |
| ラワン合板 | 6mm 9mm | 内装仕上げ |
屋外で使う場合は耐水性の高い合板を選び、エッジ処理やシーリングで端面の水侵入を防ぐことが重要です。
厚みは用途や重さのバランスで決めますが、荷重をかける床部分は15mm前後が実用的です。
FRP
FRPは成形性が高く、複雑な形状や一体成型のカバーに適しています。
耐候性や耐水性に優れるため長期使用に強く、塗装での補修や仕上げもしやすいです。
ただし成形や積層の工程には技術と時間が必要で、コストが上がる点は考慮してください。
ターポリン
ターポリンは防水性と耐久性を兼ね備えたシート素材で、簡易的なトノカバーに最適です。
- 厚手タイプ
- 半透明タイプ
- メッシュ補強入り
- UVカット加工付き
溶着や縫製で加工でき、ハトメを入れてロープやベルトで固定する使い方が一般的です。
屋外での劣化を抑えるため、UV処理や防カビ加工の有無を確認してください。
ナイロン生地
ナイロン生地は軽量で引裂強度が高く、折りたたみや収納が多い用途に向いています。
防水性を求める場合はウレタンコーティングやシリコンコーティングが施された製品を選んでください。
ただし紫外線に弱い面があるため、長期的な屋外使用では劣化対策が必要です。
ゴムシール
ゴムシールは雨水やホコリの浸入を防ぐ重要な部材になります。
EPDM製やネオプレン製など、耐候性や柔軟性で選ぶと良いです。
接着タイプと押し込みタイプがあり、取り付け方法に応じて使い分けることをおすすめします。
制作手順
ここでは軽トラのトノカバーを自作するための具体的な手順を順を追って説明します。
採寸から仕上げ、荷重試験まで、作業の流れと注意点を分かりやすくまとめました。
採寸
まず正確な採寸が最も重要です、ここでの誤差が完成品質に直結します。
- 荷台内寸 幅 奥行き 高さ
- 荷台周縁の縁高さと段差
- ゲート部の開閉クリアランス
- 取り付けボルト位置の有無と寸法
- 後方視界やライト類の干渉確認
上のチェック項目を基に、メジャーと直角定規を使って実測してください。
採寸は複数回行い、記録を写真とともに残すと後工程で迷わなくなります。
フレーム加工
フレームを作る前に図面から切断リストを作成してください、寸法と切断数を明確にします。
| 材料 | 切断長さ | 用途 |
|---|---|---|
| アルミ角パイプ | 前後バー 1200mm | 上枠前後支え |
| アルミ丸パイプ | サイドバー 800mm | 側面支持 |
| ステー類 | 各種 50mm 100mm | 補強部品 |
切断はバンドソーかメタルソーを推奨します、切断面はグラインダーで面取りをしてください。
穴あけや溶接面のクリアランスは組立前に仮合わせで確認することをおすすめします。
フレーム組立
フレームは平坦な作業台の上で仮組みを行ってください、まず四角の直角を出します。
ボルト締めで組む場合はすべて仮締めにしてからトルク管理を行い、本締めへ移行してください。
溶接で固定する際は歪み防止に順で小さな溶接を繰り返すと良いです。
組立中は定規と水準器で縦横の歪みを頻繁にチェックしてください。
防水シーリング
フレームと荷台の接触面、継ぎ目には必ずシーリング材を塗布します。
シリコン系またはポリウレタン系の防水シーラントを用いると耐久性が高まります。
シーラントは目地幅に合わせて均一に充填し、ヘラで押さえて平滑にしてください。
施工後は完全硬化までの養生時間を守り、動作確認は硬化後に行うことが安全です。
シート張り
ターポリンやナイロンシートを使う場合、縫製部は防水テープで補強すると雨漏りを防げます。
シートは余裕を持ってカットし、端部は折り返して縫い目を作ってください。
張り具合はテンションを均等にして、風でバタつかない程度に引き締めます。
固定はカラビナやロープ、専用のラッシングで荷台のフックにかけてください。
蝶番取付
蓋の開閉部には耐荷重のある蝶番を選択してください、ステンレス製が錆に強くおすすめです。
取り付けはフレームと蓋の位置を合わせてから、下穴を開けてビス止めする方法が確実です。
蝶番取付部には補強プレートを裏側に入れて、ねじ切れや引き抜けを防いでください。
ロック設置
ロックは使用用途に応じてシンプルなラッチ式か、鍵付きのものを選んでください。
雨水侵入を防ぐためにロック周りにはパッキンを追加することを推奨します。
取付位置はアクセスしやすさと盗難防止を考慮して決めてください。
仕上げ塗装
金属部は錆止めプライマーを塗布した後に上塗りを行うと長持ちします。
塗装前に脱脂とサンドペーパーで下地調整を行ってください、密着性が向上します。
屋外使用を想定する場合は耐候性の高い塗料を選び、複数回に分けて薄塗りすると良いです。
荷重試験
完成後はまず静的荷重試験を行い、予想最大荷重の1.2倍程度を目安に確認してください。
試験中にフレームや固定部に異音や目に見える変形がないか注意深く観察します。
異常が見つかった場合は使用を中止し、原因を特定して補強や再施工を行ってください。
最後に実際の使用環境を想定した動作試験を行い、開閉やロックの動作を実際に確認してください。
固定方法
軽トラックのトノカバー固定方法は、用途や頻度に応じて選ぶと便利です。
積載物の種類や走行条件を考慮して、複数の固定手段を組み合わせることをおすすめします。
ボルト固定
ボルト固定は最も確実で、長距離や高速走行でも外れにくい特徴があります。
取付けは車体側のフレームや荷台の既存の穴を利用するか、補強プレートを入れて穴あけを行います。
防錆のためにステンレスボルトやメッキボルトを選ぶと長持ちします。
締め付けトルクはボルト径ごとに適正値を守り、ロックワッシャーやネジロック剤で緩みを防止してください。
| ボルトサイズ | ワッシャ | 推奨トルク |
|---|---|---|
| M6 | 平ワッシャ | 8Nm |
| M8 | 平ワッシャ | 20Nm |
| M10 | スプリングワッシャ | 40Nm |
穴あけ加工を行う場合は、内側に補強プレートを付けて荷重を分散させると安全です。
クランプ固定
クランプ固定は工具の使用が少なく、脱着が速いメリットがあります。
荷台の縁やレールに対して挟み込む方式が主流で、傷防止パッド付きの製品が扱いやすいです。
耐振動性を高めたい場合は、ラバーインサート付きのクランプを選ぶと効果的です。
- Cクランプタイプ
- Uボルトタイプ
- スプリングクランプタイプ
- フック付きクランプタイプ
クランプの締め付けは過度に行うと塗装やステンレス部材を痛めますので、適度な力で固定してください。
マグネット固定
マグネット固定は工期が短く、工具がほとんど不要である点が魅力です。
使用するマグネットは耐水コーティングされた強力ネオジム磁石を推奨しますが、表面が平滑なスチールでないと保持力が落ちます。
長期間の使用や高速走行では、磁力だけでは不安が残るため、安全のために補助固定を併用してください。
マグネットは振動や衝撃で位置ずれする可能性があるので、ゴムパッドやスリットゴムを挟んで滑りを抑えると安心です。
ベルト固定
ベルト固定は汎用性が高く、調整も簡単で様々な形状のカバーに適応しやすいです。
ラチェット式ベルトは締め付け力が高く、荷物の沈みやずれを防止できます。
ベルトを直接鋭利な角で擦らないように、コーナーパッドや布で保護してください。
アンカー設置は荷台の強度を考慮して行い、必要ならばプレートで補強してから取り付けると良いです。
短時間での着脱が必要な場合はバックルタイプを、強固な固定が優先ならラチェットタイプを選ぶとよいでしょう。
開閉機構の設計
軽トラのトノカバーは開閉機構で使い勝手と安全性が大きく変わります。
ここでは代表的な方式の特徴と設計上の注意点をわかりやすく解説します。
ヒンジ式
最もシンプルで製作がしやすく、メンテナンスも簡単な方式です。
取り付け位置とヒンジの強度が使い勝手を左右しますので、採寸と荷重計算は入念に行ってください。
ヒンジは片持ちにするか両持ちにするかで必要強度が変わりますので、荷重分散を意識して配置します。
防錆処理と潤滑を施せば、長期間安定した動作が期待できます。
- ステンレス蝶番 150mm
- 耐荷重ヒンジ 200kg級
- M8 ステンレスボルト
- 防水シール付きヒンジカバー
取り付けは下地がしっかりした位置にボルト固定することを推奨します。
開閉角度が大きいときはストッパーを追加し、過開防止と挟み込み対策をしてください。
ガスダンパー式
ガスダンパーは開閉をスムーズにし、フタを任意の位置で保持できる利点があります。
ただし、ダンパーの選定を間違えると初期開放が重い、あるいは最後まで保持できないといった問題が生じます。
取り付け位置のジオメトリで支点距離が変わり、必要推力が変動しますので、実測で確認してください。
安全対策として、一つのダンパー故障でも閉じてしまわないよう、補助のストッパーやチェーンを併用することを推奨します。
| 荷重範囲 | 推奨仕様 |
|---|---|
| 〜10kg | 1本 600N |
| 10kg〜20kg | 2本 400N each |
| 20kg〜30kg | 2本 600N each |
取り付けブラケットは角度調整ができるタイプを選ぶと調整が楽になります。
実装後は開閉を数十回繰り返して耐久性を確認し、必要ならば本数や取り付け位置を見直してください。
スライド式
スライド式は荷台上の高さが制約される場面で有効で、横方向に引き出す構造が中心です。
重い蓋にはローラースライドやボールベアリング式レールを使うと摩擦が少なく、操作性が良くなります。
水や泥の侵入を防ぐためにレールにカバーを付けると長持ちします。
レールの芯出しと固定は精度が命ですので、取り付け面を面一にしてボルトで確実に止めてください。
脱落防止のストッパーを必ず設け、走行中の振動で外れるのを防いでください。
ロール式
ロール式は布や薄いパネルを巻き取る方式で、荷台の有効スペースを最大化できます。
手動巻き取りかスプリング式、あるいは電動式を選べますが、用途に合わせた耐久性と防水性を重視してください。
巻取り軸のベアリングとエンドキャップは雨水侵入に強い部材を選ぶとメンテが楽になります。
シートの端部固定と遮水シールを丁寧に設ければ、防雨性が向上します。
定期的に巻取り状態を点検し、シートのたるみや偏磨耗があれば早めに調整してください。
完成後の点検と維持管理
完成後も定期的な点検と適切な維持管理が、軽トラのトノカバーを長持ちさせる鍵です。
まず装着部のボルトの緩み、シールの剥がれ、雨漏りの有無を目視で確認してください。
毎月の簡易チェックと、半年ごとの詳細点検を目安にすると安心です。
点検項目の例は以下の通りです。
- ボルトやナットの締め付け状態
- ゴムシールの亀裂や硬化
- シートの破れや縫い目のほつれ
- フレームの曲がりや錆の発生
- ヒンジやロック機構の作動確認
- 防水テープやシーリングの劣化
問題が見つかったら早めに補修し、錆や水侵入の拡大を防いでください。
シート類は乾いた布で汚れを落とし、必要に応じて防水スプレーや補修材を使ってください。
定期的に写真を記録しておくと、劣化の経過が比較しやすくなります。
作業内容と日付をメンテノートに残しておくことをおすすめします。
こうした習慣が、長期間の安全使用とコスト低減につながります。

