自分だけの車中泊空間を軽トラをベースにしたキャンピングカーで作りたいけれど、何から手を付ければいいか不安に感じていませんか。
特に荷台の実寸やベッド寸法、重心配置、法規対応を誤ると走行時や車検で問題になりやすいのが悩みです。
この記事では外形寸法や床断面、壁パネル、フレーム組立から断熱・電装、CADテンプレまで、設計図作成に必要な実務的ポイントを具体的に解説します。
寸法図や材料選定、工程管理の順序などすぐ使える情報を盛り込み、失敗を減らす設計指針をお約束します。
まずは荷台の実寸と構成から見ていきましょう。
軽トラで作るキャンピングカー自作設計図の実寸と構成
軽トラ荷台をベースにしたキャンピングカーは、寸法設計が安全性と快適性を左右します。
ここでは実寸ベースの目安と、構成の考え方をわかりやすく整理します。
荷台の外形寸法
一般的な軽トラックの荷台外形は長さおよそ1940mmから2000mm、幅およそ1410mmから1470mmが多いです。
外形寸法は車種ごとに差が出ますので、実車をメジャーで測ることを最優先にしてください。
フレームやボディを取り付ける際のクリアランスを確保するため、測定は複数箇所で行うと安心です。
室内有効高
荷台にボックスを載せる場合の室内有効高は、立てて動けるかどうかに直結します。
軽トラの荷台上に作るボックスでは、天井高1200mm前後が実用的な妥協点です。
就寝専用や座って使うだけなら900mmから1000mmでも十分ですが、動作性を重視するなら余裕を見ておくと快適です。
床断面寸法
床は荷台の平面形状に沿って設計しますが、左右のフェンダー部の出っ張りを考慮してください。
作業用の床断面は、長手方向に1800mm程度を確保し、幅は実測幅から断面内側に20mm程度の余裕を取るのが一般的です。
床の強度を確保するため、合板厚は12mm以上、荷重をかける部分には補強材を配置してください。
壁パネル寸法
壁パネルは床と天井の寸法に合わせてカットしますが、パネル接合部の被せ寸法を設けるのが重要です。
被せ寸法はおおむね10mmから20mmを標準とし、防水シールや断熱材の厚みも加味して設計してください。
左右のパネルは左右対称にすることで加工と施工が容易になり、図面化も簡単になります。
後部開口寸法
後部の開口は荷物の出し入れと避難経路を兼ねますので、幅は最低700mm、理想は800mm以上を目安にしてください。
高さは床から開口上端までを900mmから1200mmとし、乗降しやすい傾斜やステップの配置も合わせて検討すると良いです。
開口部には強度確保のためのフレームを設け、シーリングやヒンジの取り付けスペースを確保してください。
ベッド寸法パターン
ベッドは利用人数と用途でパターンを選ぶと計画が楽になります。
| パターン | 寸法 | 備考 |
|---|---|---|
| 横向きシングル | 900×1800mm | 就寝一人用収納下空間あり |
| 縦向きシングル | 800×1800mm | 荷室幅を活かす設計 |
| ダブル展開 | 1200×1800mm | 二人就寝可折り畳み式 |
| フルフラット変形 | 1400×1800mm | 荷物優先時は床下収納拡張 |
収納スペース寸法
収納は重量配分と使い勝手の両方を考えた配置が求められます。
以下は代表的な収納区画の例です。スペースに応じて組み合わせてください。
- 床下引き出し
- サイド上部棚
- ベッド下収納ボックス
- 後部ハッチ内ポケット
各区画はアクセス性と耐荷重を考慮し、引き出しは奥行き400mm前後を目安に設計すると使いやすいです。
重心配置指標
重心は走行安定性に直接影響しますので、なるべく車両中央寄り、床面に近い位置に重量物をまとめることを推奨します。
具体的には、重い装備は車軸間の中央付近に配置し、左右差は50mm以内に抑えるのが安全です。
電池や水タンクなどの重量物は床下か低い棚に固定し、固定方法は振動対策を兼ねた金具を使用してください。
製作手順と工程管理
軽トラをキャンピングカーに改造する際の製作手順と工程管理は、安全性と完成度を左右する重要な要素です。
ここでは荷台の準備から設備の試運転まで、順序立ててわかりやすく解説します。
荷台前準備
まず荷台の寸法と状態を正確に確認します。
錆や塗装剥がれがあれば処理し、平滑な下地を確保してください。
荷台の強度とボルト定着部の損耗を点検し、必要に応じて補強を行います。
荷台に残る配線や固定具は取り外し、取り回し計画を立てます。
最後に荷台の耐荷重と車検上の制限を確認し、設計に反映させてください。
フレーム組立
フレームは床と壁を支える骨格になりますので、精度を優先して組立てます。
アルミ角材や角パイプを使う場合は、溶接やリベットでの接合方法を事前に決めます。
組立ては仮組みで寸法を確認した後、本締めに移行する順序が基本です。
- フレーム仮組み
- 位置決めと直角確認
- 補強プレート取り付け
- 本締めとトルク管理
- 防錆処理
接合部のトルクとシーリングは後工程の防水性にも関わるため、規定どおりに施工してください。
防水下地施工
フレームと荷台のすき間からの浸水を防ぐために、下地処理は入念に行います。
まずプライマーを塗布し、密着力を高めます。
シーム部分はファブリックテープや補強材で補強してから防水層を作ります。
防水材は複数回の重ね塗りで厚みを確保し、硬化時間を守って施工してください。
雨天や気温の低い条件では硬化不良が起きやすいので、施工環境にも注意します。
断熱施工
室内快適性を左右する断熱は、隙間なく施工することが重要です。
使用する断熱材は熱伝導率と厚みを考慮して選定してください。
壁と床、天井の取り合い部分はカットで微調整し、気密テープでシールします。
結露対策として、必要に応じて防湿層を内側に設けることを推奨します。
断熱材の固定は落下防止と振動対策を兼ねた方法を採り、長期耐久性を確保します。
内装パネル施工
内装パネルは見た目と機能性の両方を満たすように計画します。
合板や軽量パネルをフレームに沿わせ、密着と隙間処理を徹底してください。
開口部まわりは補強を入れ、窓や扉の取り付け寸法に誤差が出ないようにします。
仕上げ材の選択は耐久性とメンテナンス性を重視し、必要箇所には加工しやすい材料を使います。
パネル固定用のビス位置は下地に合わせて図面から逸脱しないよう注意してください。
電装配線施工
電装は安全基準を満たす配線計画が最優先です。
配線ルートは水回りや可動部を避け、ヒューズや遮断器の位置を明確にしておきます。
使用するケーブルは許容電流に余裕のある断面積を選定してください。
接続は圧着端子や防水コネクタを用い、露出端子には必ず絶縁処理を施します。
バッテリーやインバーターの換気と固定、アース処理は最後に再確認してください。
設備試運転
設備の試運転は、実際の使用条件を想定して段階的に実施します。
安全確認と性能検証を分けて行い、問題点は記録して改善します。
| 試験項目 | 判定基準 |
|---|---|
| 密閉性確認 排水動作確認 雨漏れチェック |
漏れ無し 排水正常 目視及び触診で問題無し |
| 電気系統動作 充電系統チェック 負荷運転テスト |
ヒューズ正常 充電開始確認 温度上昇許容内 |
| ガス・火器系確認 換気動作確認 安全装置作動 |
漏れ無し確認 換気能力確保 遮断機能作動 |
試験時は必ず二人以上で行い、一人は記録と監視に専念する体制を取ってください。
問題が見つかった場合は設計に戻り、原因解析と是正措置を優先して実施します。
最終的にすべてのチェックをパスしたら、走行前点検リストを作成して保管してください。
推奨材料と工具一覧
軽トラをキャンピングカーに改造する際に必要な材料と工具を、用途ごとに厳選してご紹介します。
耐久性と車検対応を念頭に置いた選定を意識して解説します。
構造用合板
床やベッドフレームの下地には構造用合板が基本になります。
屋外や湿気に強いものを選び、端部はシーリングで必ず保護してください。
厚みは用途に応じて使い分けると強度と軽量化の両立が図れます。
| 厚さ | 主な用途 |
|---|---|
| 9mm | 壁パネル |
| 12mm | 床下地 |
| 15mm | ベッドフレーム |
| 18mm | 構造補強 |
アルミ角材
フレームや軽量な補強材にはアルミ角材が最適です。
30角や40角程度のサイズが扱いやすく、ボルト接合で応力集中を避けられます。
アルマイト処理された製品を選べば耐食性が向上します。
溶接が不要な設計にすれば作業工数を減らせます。
断熱材
車内の快適性確保には断熱が最重要です。
XPSやポリイソシアヌレートなどの板状断熱材は施工が簡単で熱抵抗が高いです。
吸音と耐燃性を両立したロックウールも部分的に有効です。
結露対策として防湿フィルムやバリア層の併用を推奨します。
FRP防水
屋根や後部の開口周りなど、雨水侵入が懸念される箇所にはFRPでの防水層を施工してください。
マットと樹脂を重ねる積層で強度と防水性を確保します。
外層はトップコートで紫外線対策を施し、塗り替え性を考慮すると長持ちします。
建築用シーリング
接合部には高品質な建築用シーリング材でしっかりと継ぎ目を埋めてください。
ポリウレタン系やMSポリマー系の可塑性が高いものを選ぶと追従性が良好です。
塗装する場合は塗装可能なタイプを選び、プライマー塗布を忘れないでください。
金物類
ヒンジやラッチはステンレス製の耐食性が高いものを選びます。
引き出し用のスライドレールは耐荷重を確認して余裕を持たせてください。
コーナーブレースやアングル金具は荷重を分散する目的で適所に使います。
ビスやボルト類は締結トルクと長さに注意し、ねじ山のかみ合わせを確実にします。
配線部品
車載電装は配線部品の品質が安全性を左右しますので、信頼できるメーカー品を選んでください。
ケーブルは断面積に余裕を持たせて、配線経路は熱源や可動部から離して通すことが重要です。
ヒューズやブレーカーで回路保護を徹底し、接続は圧着端子で処理してください。
- 配線用ケーブル各種
- ヒューズホルダーとヒューズ
- DCブレーカー
- バスバー
- インバーター
- ソーラーチャージコントローラー
- リング端子と圧着工具
- MC4コネクタ
- スイッチパネル
- LED照明ユニット
ポータブルバッテリー
リチウムイオン系のポータブルバッテリーは容量あたりの重量が軽く、寿命も長いのでおすすめです。
Lifepo4で100Ah前後が車中泊用途では汎用性が高いですが、目的に合わせて選んでください。
BMS内蔵モデルを選べば過充電や過放電のリスクを低減できます。
固定は転倒防止を最優先にし、通気や放熱スペースを確保してください。
充電方法はAC充電とソーラー充電の両立を想定した構成にすると利便性が高まります。
図面作成とCADテンプレート活用
軽トラをキャンピングカー化する際、図面は施工品質と法令適合の要になります。
CADテンプレートを整備すると設計の再現性が上がり、誤差や手戻りを減らせます。
必要図面一覧
まずは最低限そろえる図面を明確にしてください。
- 全体配置図
- 床平面図
- 側面立面図
- 後面立面図
- 床断面図
- 天井断面図
- 家具部品図
- 電装配線図
- 組立手順図
各図面には用途に応じた尺度を設定し、誰が見ても分かる表記を使ってください。
寸法記入ルール
寸法は原則ミリメートルで統一し、単位表記は図面の注記欄に一度のみ明記してください。
基準線を明確にして、基準からの片側寸法と全長寸法の使い分けを定めます。
クリアランスや可動域は破線で示し、注記で必要な余裕を明記してください。
許容差は重要部位ごとに設定し、寸法線の近くに公差記号を添えてください。
穴やボルトの指示は加工径と座ぐり深さを併記し、ねじ呼びや締付トルクの参照を忘れないでください。
3Dモデリング設定
モデルはアセンブリ階層で構築し、サブアセンブリ単位で保存すると編集が楽になります。
原点は荷台の左後端または車体中心に統一し、設計者間で共通参照を持たせてください。
材料属性を各部品に割り当てると質量や重心計算にそのまま利用できます。
クリアランスチェックと干渉検査は初期段階と最終確認で必ず実行し、結果は図面に記録してください。
出力フォーマットは製作用途に合わせてSTEPやDXFを用意し、CNCやレーザー切断に対応させてください。
部品図テンプレ
頻繁に使う家具や金物は部品図テンプレを作成しておくと工数を削減できます。
| 部品名 | 推奨寸法 | 推奨材質 | 備考 |
|---|---|---|---|
| ベッドフレーム | 1200×2000mm | 合板12mm | 角面処理 |
| 収納棚パネル | 300×800mm | 合板9mm | ビス位置指示 |
| 床補強リブ | 40×40×2000mm | アルミ角材 | ボルト留め |
| 後扉ヒンジプレート | 100×50mm | ステンレス板 | 穴加工済 |
テンプレはバージョン管理を行い、改訂履歴を図面タイトルブロックに残してください。
組立図テンプレ
組立図は視認性を重視し、工程順に番号を付けて作業者が追いやすく作成します。
各工程には使用部品リストと工具、所要時間の参考値を併記してください。
爆発図を用意すると、部品の位置関係と取り付け順序が一目で分かります。
締結トルクやシーリング指示、接着指示などは図面の注記欄で明確に示してください。
最終検査項目と検査基準を組立図に記載し、施工後の確認が効率的にできるよう配慮してください。
法規遵守と走行安全対策
軽トラをベースにしたキャンピングカーは楽しさが魅力ですが、法令遵守と走行安全を怠ると重大なトラブルにつながります。
ここでは車検申請での注意点や積載規定、灯火類の整備、電装の安全基準、防火と換気の基準を実務的に解説します。
車検申請ポイント
改造車として扱われる可能性が高いため、事前に管轄の検査機関や陸運支局へ相談することをおすすめします。
申請に必要な書類や図面を揃え、改造箇所ごとの仕様を明確にしておくと当日の手続きがスムーズです。
- 車検証コピー
- 改造内容図面
- 改造理由説明書
- 取り付け部材の仕様書
- 固定方法の写真
架装が車両の寸法や重量、重心に影響する場合は、公的な検査が必要になることが多いです。
独自判断で公的手続きを省略すると合格できないだけでなく、保険適用外になる恐れがあります。
積載規定
最大積載量や車検証に記載された乗車定員を超えないように設計することが第一です。
荷物や設備を後ろ寄りに集中させますと後輪荷重が増え、操縦安定性が低下しますので、重心を低く、中央寄りに配分してください。
固定方法は振動や衝突を想定して、金具やアンカーボルトで確実に固定することが求められます。
走行中に荷崩れが起きると他車に危険を及ぼしますので、ラッシングやネットでの二重固定を推奨します。
照明と表示
灯火類は法令で定められた位置と光量を満たす必要がありますので、変更する場合は基準に合わせて設置してください。
後部に取り付ける追加ランプやリフレクターは、既存の灯火と干渉しないように配列することが重要です。
| 項目 | 主な要件 |
|---|---|
| 方向指示灯 | 左右視認性確保 点滅式 |
| 尾灯 | 左右設置 夜間視認性 |
| 反射器 | 後部下方設置 視認距離確保 |
改造により光軸や遮光を変化させないこと、電装を追加する際は配線経路が灯火に干渉しないよう配慮してください。
電装安全基準
12V系の配線であっても、過電流や短絡は火災リスクにつながりますので、回路ごとに適切なヒューズやブレーカーを配置してください。
バッテリーは専用の固定金具で車体にしっかり固定し、振動や転倒時の移動を防止する必要があります。
アースは最短経路で太い線を使用し、接触面は塗装を剥がして確実に接触させると良いです。
インバーターや充電器は車載用認証がある製品を選び、取扱説明書に従って通気や冷却を確保してください。
配線作業は配線図を作成してから進め、結線点には結束と保護スリーブを施すことでトラブルを予防できます。
防火と換気基準
車内に燃焼系の調理設備を設ける場合は、排気と換気を必ず確保し、一酸化炭素中毒のリスクを最小化してください。
内装材には難燃性能のある材料を選び、燃え広がりを抑える工夫を行うことが求められます。
小型の消火器を車内に常備し、固定具で確実に保持しておくと万一の際に対応できます。
換気口は自然給排気と機械換気を組み合わせると効果的で、寝室部分の換気は特に注意が必要です。
換気と防火は快適性だけでなく、走行中の安全にも直結する重要項目ですので、設計段階で十分に検討してください。
実制作に移る前の最終確認チェック
実制作に移る前に、図面と部材リストを突き合わせて、寸法や部品数の齟齬がないか必ず確認してください。
荷台の現物測定を行い、クリアランスや固定ポイントの位置を実寸で確認してください。
電装系は配線図と接地経路を最終確認し、ヒューズ容量や配線断面の適合を現場で検査する必要があります。
防水処理と換気経路は、雨天や密閉状態での試験を行い、漏水や結露の発生を未然に防いでください。
工具類と安全装備、法規対応書類は現場に揃っているか、チェックリストで一つずつ確認します。
- 図面と部材リストの一致確認
- 現物寸法とクリアランス確認
- 重心と荷重配分の最終チェック
- 電装配線図とヒューズ容量の検査
- 防水と換気の実地試験
- 工具と保護具の準備
- 車検書類と法規対応の確認

